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第8期目突入 干場弓子理事インタビュー2021.7.1

出版

一般社団法人アルバ・エデュは、「すべての子どもに話すちからを!」をモットーに
公教育にアクティブラーニングの授業を導入するお手伝いをしており
昨年からはGIGAスクール構想を支援する自治体のアドバイザーや教員研修も行っています。

おかげさまで2021年6月1日から第8期目を開始することができました。

 

今回から5回にわたり、アルバ・エデュの理事の面々にインタビューした内容をご紹介します。
理事のアルバ・エデュに対する優しくまた熱い気持ちを、皆さまと共有できればと存じます。

 

初回となる今回は、前ディスカヴァー・トゥエンティワンの社長で、現在はNewsPicksのプロピッカーやNewsSchoolのプロジェクトリーター、多数の組織の理事等を兼任、また、近く、息子さんと一緒に新しい出版社を立ち上げる干場弓子理事。アルバ・エデュに様々な企業や人を紹介し、新しいドアを開けてくださる心強い存在です。

 

 

―アルバ・エデュをどんな気持ちで応援してくださっていますか?

 

私はディスカヴァー・トゥエンティワンという出版社を36年前に創業しました。2019年末に退任しましたが、退任する前の年に、代表理事の竹内さんと出会ってその情熱に心打たれて、時間ができたら協力したいなと思っていました。何に心打たれたかといいますと、お仕事の中で知り合った日本のビジネスマンのプレゼン力に危機感をおぼえて、子どものうちから「話すちから」を身につけてあげないと日本の未来は危ういと思われて、私財をなげうって活動している姿にです。

「話すちから」が足りないことは、私たち出版業界においても感じていたことです。会社を経営していても高学歴の人たちが会議で自分の意見をはっきりとプレゼンできるかというと、できる人は限られています。20年後30年後のことを考えると、自分の意見をもって堂々と発言できるように教育してあげることが、私たち大人の義務だなと感じています。

コロナになってしまって、当初の出前授業がオンラインになってしまいました。その中で、自分の考えを恐れずに発言するということを身をもって実行している大人の姿を、配信して、子どもたちに見せていることが素晴らしいと思います。

 

 

―干場様にとって「話すちから」とは?  これまでどんな場面で「話すちから」を駆使されてきましたか。

私は小学生の頃は積極的に手を挙げて話すタイプの子どもでした。それが、中学高校と思春期になるころには、無口になり話さなくなりました。「あなたは書くことは上手だけれど話すことはあまり上手ではない」と言われてきた親の呪いでしょうか。親や周りの人の何気ない言葉が、子どもの芽を潰してしまうことはありますね。

人前で話すことが好きだと思えるようになったのは40歳をこえてから、取材を受けたり講演をしたりするようになってからです。中国からいらした社長をはじめ、海外の方には、「弓子の話が一番面白かったよ」とよく言われました。その方の話によると、日本のビジネスマンは、びくびくしていたり、気取ったり、無難におさめようとしているように見えるそうです。自分の意見がないというか何を言いたいのか分からないというか。そして大手の会社は、相手は自分たちの持っているコンテンツを欲しがっている状態だから、こちらから愛想を振りまく必要がないと思っているように見えるそうです。

「話すちから」で重要なのは内容だと思いました。ただ話すのが得意というのは詐欺師でも誰でもできるので、自分自身の中から出てきた言葉、誰かの言葉を引用するのであっても自分の言葉として話せるかどうか、それが相手に何かを起こす視点であることが大事だと思います。話し方が下手でも、その人ならではの言葉があり、それが聞く人にとって新しい視点を与えるものである、

それが話す力ではないかと思います

話すときは、自分のユニークな視点を大切にして、それを相手に伝えることを意識する。これはビジネスの世界でも大切ですね。看板がなくても、個の力でビジネスチャンスをつかみにいく力をつけて、世界に友達をつくっていってもらいたいです。偏差値の高い大学を出て大企業に就職するしか道はないなんて思うと、8割以上が挫折者になってしまう。そんなことは絶対にないと言いたいです。

 

 

―さきほどの質問とは逆に、「話す」ことで失敗したことはありますか?

講演会などで、反応が良くなかったとかは何回もあります。中高一貫の女子高の講演など、特に学校で話すときに、この場ではこう話すことが求められているのかなあと勝手に想像してしまって、枠の中でまとめようとしてしまいました。「枠から飛び出そう」という私の生き方と真逆なことだったので、枠の中で無難に話そうとしたことは失敗でした。

 

 

―これからの教育はどうなってほしいですか

また、次世代を担う子どもたち・若者たちへのメッセージもおねがいします。―

今朝のテレビで、高校生が、「SNSで自由に発言できる世の中になったので、自分の意見を言うとバッシングされる、だから自分の意見は言わないようにしている。」と話していました。

自由に発言すると、その気はなくても知らないうちに誰かを傷つけることがあって、それが炎上になったりしていますよね。私も、小学生の時は積極的に話していたのですが、ある時、「こういうことを言うと、こう思う人がいるのか」ということに気づいて、それでだんだん話さなくなりました。炎上するのが嫌だからSNSで発信しなくなるのは構わないですが、どこかで限られた人の前でもいいから、アウトプットしないと、それはそれでとても心配です。

 

アウトプットしないことのデメリットは2つあると思っています。一つ目は、発言しないとその場に対する貢献がないということです。みんなが意見を言うことで何かが生まれ、何かが決まるのだから、反対意見も恐れずに言うべきだと思います。学校の先生もそれを促進してもらいたいし、同時に反対意見に対して感情的になってあとでいじめにならないように気を付けてほしいです。先生の指導が、違う意見を抑えつけようとするものだと、子ども達も、人と違うことをいじめていいのだなと思ってしまいます。違った意見を出していい。意見が違っても一緒にいられる空気をつくってもらいたい、学校の先生に一番お願いしたいことです。

デメリットの二つ目は、自分の思いを醸成してアウトプットしないと、最初は意見があった人も、いつの間にか意見がない人になってしまうということです。人と違う意見も恐れずに言ってもらいたいし、SNSが怖いならば自分で場を選んでアウトプットする、どうしてもないなら日記に書くといいと思います。

 

 

アルバ・エデュへ、または一言ございましたらお願いいたします!

日本の将来を担う日本の子ども達が、「話すちから」を身につけていくために、様々な形でこれからアルバ・エデュさんが活動を展開していくと聞いております。あと10年後20年後30年後、日本はどうなっていくのか、出版の仕事をしているといろいろな情報が入ってきて心配になります。一人一人が生き生きと幸福な人生を送れる日本であってほしいと願っております。皆さんアルバ・エデュをよろしくお願いします。

 

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